命

黒いもふもふ


行く当てもなくふらふら

幽霊みたいにゆらゆら

一変した世界は騒がしくも温かい



臭くて暗い雲はふかふか

絡み付くあいつはごつごつ

隠れる泣き声はきっとそいつの



くるくる回る歯車が軋み始めた雪降る夜

世界はもっと賑わい始める

世界が反転して光を失ったいつもの夜

世界に暗雲が立ち込めた



隠れる泣き声が今日は一段と現れて

とんがり耳をいじめるよ

いつもまとわりつく二本の蛇は

今日は背中をなぞるだけ



ぎこちない歯車が止まる前に

草木萌え鳥はさえずるだろうか

あいつの涙が渇き悲しみ流れる頃は

僕は光になれるだろうか



「おぉ、ようこそ我が家へ」

「もう寒くないし逃げなくて良いんだぞ」

「ぐすっ・・・うぅぅ・・・」

「うぅ・・・・・・・・・」



ぐちゃぐちゃの顔で男が言う

格好悪く涙ぼろぼろこぼして言う

無責任にだが心から叫んで

「少しでも長生きして」



にゃあ